2026年7月18日土曜日

Fable5でコンデンサと抵抗のLTspiceのセミナーコンテンツのアップデート

 次に、コンデンサ教材のスクリプトに上級演習スライドを追加します。Next, the resistor deck upgrades.両教材を上級エンジニア向けに大幅アップデートしました。基礎演習はそのまま残し、「上級演習」として専門性の高いコンテンツを追加しています(白背景デザインは維持)。

コンデンサ編(19→23スライド、シミュレーション4本→7本)

  • 上級演習A:インピーダンス周波数特性とSRF05_impedance_srf.cir)— .ac解析で1kHz〜100MHzを一括スイープし、4種のコンデンサのV字カーブを重ね描き。メーカーデータシートのあのインピーダンスカーブを自分の手で再現し、「SRFより上ではコンデンサはコンデンサではない」を体感します。
  • PDNターゲットインピーダンス設計法(コンセプトスライド)— Ztarget = ΔV/ΔImax から始まる、電源分配網設計のプロの方法論を導入。
  • 上級演習B:反共振(アンチレゾナンス)06_antiresonance_pdn.cir)— 「コンデンサを足したらノイズが悪化した」という実際に起きる逆説の種明かし。制御ESR品によるダンピングで解決する様子まで比較し、「低ESR=常に正義ではない」というメーカー差別化にも直結する知見に落とします。
  • 上級演習C:MLCCのDCバイアス特性07_dcbias_mlcc.cir)— 非線形電荷式 Q(V)=C0·V0·atan(V/V0) のビヘイビアコンデンサで「100µFの実力は半分」を再現。定電流チャージのdV/dt傾きから実効容量を読むという、実務のC-V測定原理そのままの演習です。

抵抗編(17→19スライド、シミュレーション3本→5本)

  • 上級演習A:熱暴走をシミュレーションで"起こす"04_thermal_runaway_tcr.cir)— 抵抗値が自分の温度で変わり、温度が自分の発熱で変わる双方向の電気-熱連成ループを構築。ループゲイン K = I²·R0·α·Rth による安定判別条件を導入し、K=0.3/0.8/1.2 の3条件で「収束」と「発散(熱暴走)」を画面上で目撃します。商用の電気-熱連成ソルバと本質的に同じ計算です。
  • 上級演習B:モンテカルロ公差設計05_montecarlo_divider.cir)— 「±1%抵抗の分圧精度は±1%ではない」を600回のランダム試行で統計的に確認。SPICE Error Logの右クリック→「Plot .step'ed .meas data」で分布がそのままグラフになる隠れ名機能も紹介し、ペア性・TCRトラッキングという高精度シリーズの訴求点につなげます。

.cirファイルには物理背景・操作手順・議論ポイントを冒頭コメントに詳述済みなので、講師用アンチョコとしてもそのまま使えます。なお、熱暴走演習のTCRは現象を明確に見せるため実素子より誇張した値にしてあり、その旨をファイル内・スライド両方に明記しています。開催前に一度LTspiceの実機で全ファイルの実行確認をお願いします。

コネクタのLTspiceセミナーの準備

 Fable5を活用し、コネクタのLTspiceセミナーの準備をしました。


コネクタ編を追加します。まず要点をメモリに記録し、LTspiceファイルから作成します。次にコネクタ教材のPPTXを作成します。対象欄が折り返しているので短くします。All clean. Finalizing the deliverables.第3弾「コネクタワークショップ」を作成しました。教材(PPTX・21スライド、白背景・ティール系デザイン)とLTspiceシミュレーション7本です。



設計上の課題設定 → LTspiceで解決、という構成

コネクタは「回路図に線としてしか描かれない部品」——その線の中で起きている電気現象を設計対象にする、というコンセプトで、前半をPI(電源・接点信頼性)、後半をSI(高速信号・ノイズ)に振り分けました。

演習①:接触抵抗は「育つ」01_contact_resistance_heat.cir)— 新品5mΩ→劣化20mΩ→腐食80mΩの3条件で、電気-熱アナロジーにより接点温度そのものを波形化。カタログ値は「新品の値」でしかないことを体感します。

演習②:「4本で20A」の計算が崩れるとき02_multipin_current_sharing.cir)— 1本の接触不良が残り3本の健全ピンを定格超過に追い込む、コネクタ特有の故障連鎖を数値で確認。

演習③:TDRシミュレーション(目玉演習)03_tdr_impedance.cir)— 数百万円クラスのTDR測定器の原理をネットリスト約30行で再現。ステップ波を打ち込み、t≒2.1nsに返る反射から「波形の時間軸=伝送路上の距離」という地図が読めるようになります。反射係数から Z=50·(1+ρ)/(1-ρ) の実インピーダンス換算まで.measで自動化済み。

演習④:反射を抵抗1本で退治04_reflection_termination.cir)— コネクタ不連続+未終端でVDD+0.5Vを超えるオーバーシュートが発生しICが壊れるメカニズムと、直列終端33Ωによる解決。

演習⑤:ピンアサインという最強のタダ対策05_crosstalk_pins.cir)— 相互インダクタンスKとピン間容量で隣接ピンクロストークを再現し、G-S-G配置でほぼ消滅することを波形で証明。

上級演習A:グランドバウンス06_ground_bounce_ssn.cir)— 同時スイッチング1/4/8本でGNDピンのL·di/dtバウンスがVILを超えていく様子を観察。GPINSパラメータを書き換えてGNDピン増設の効果を自分の手で確認できる仕掛け付き。

上級演習B:活線挿抜のバウンス07_hotplug_bounce.cir)— 電圧制御スイッチでチャタリングを表現し、接触ごとの突入電流と開離時のL·di/dtサージ(アークの正体)を1本のシミュレーションで俯瞰。ここから演習①の接点劣化へつながる「コネクタの一生」の因果でワークショップ全体が一本の物語として閉じます。

選定チェックリストの5項目はすべて演習番号と対応させてあり、「カタログのどこを見るか」まで落とし込んでいます。これで3部作(コンデンサ・抵抗・コネクタ)が同じフォーマット・同じ90分構成で揃いました。数値(寄生L/C、熱抵抗など)は代表的なオーダーで設定しているので、協賛メーカーの実製品値への差し替えと、開催前のLTspice実機での全ファイル動作確認をお願いします。